組織人事コンサルティングSeguros代表・粟野友樹が、リクルートエージェント「転職成功ガイド」にてキャリアプランに関する解説記事の監修を担当しました。
キャリアに悩むビジネスパーソンに加え、採用・人事・経営に携わる立場の方にとっても、「応募者のキャリア観をどう捉え、どう見極めるか」を考える手がかりとなる内容です。
本記事では、監修記事のご紹介とあわせて、キャリアコンサルタント/採用コンサルタント両方の視点から補足解説をまとめています。
掲載記事
- 媒体名:リクルートエージェント「転職成功ガイド」
記事タイトル:キャリアプランとは?考え方のポイントと年代・職種別の例文、面接の答え方を解説
記事URL:https://www.r-agent.com/guide/start/16038/
記事のポイント(3つ)
- 1. キャリアプランは「将来像」と「現実の一歩」をつなぐ設計図
キャリアプランは、単に「5年後・10年後どうなりたいか」を語るスローガンではなく、「何を大切に働きたいか(Will)」「今できること・積み上げてきたこと(Can)」「これから意識的に取り組むこと(Must)」を整理し、行動レベルまで落とし込む設計図として扱う必要があります。
この記事では、その構造をかみ砕きながら、現実的な一歩に接続する考え方が整理されています。 - 2. 「年代 × 役割」ごとの期待値を意識したキャリア設計
同じ「キャリアプラン」という言葉でも、20代・30代・40代・50代では企業側が期待する役割や視点が変わります。
監修記事では、各年代で求められやすいスタンスと、営業職などを例にしたイメージが示されており、「年齢相応に何を語ると納得感があるのか」を具体的にイメージしやすい構成になっています。 - 3. 面接でのキャリアプランは「企業との接点」を示すメッセージ
面接でキャリアプランを問われたとき、企業側が見ているのは「夢の大きさ」よりも「自社の仕事内容・キャリアパスと、応募者のプランがどれだけ重なっているか」です。
監修記事では、職務内容や募集背景を踏まえたうえで、自身のWill/Can/Mustをどう言語化していくかという、実務的な考え方が整理されています。
粟野による補足(独自解説)
1. 個人のキャリア設計:キャリアプランは「完成版」ではなく「仮説版」で良い
キャリア相談の現場では、「10年後なんて全然イメージできない」「理想を語っても嘘っぽくなる」という声をよく伺います。
ここで大事なのは、キャリアプランを「一度決めたら変えてはいけない将来予測」と捉えないことです。
私がおすすめしているのは、次のような考え方です。
- まずは3〜5年程度のスパンで「こうなっていたい」を仮置きする
- その実現に向けて、今の職場で積める経験と、外の環境でしか得られない経験を分けて考える
- 半年〜1年ごとに「仮説が合っているか」を見直し、プランをアップデートする
このサイクルを回すと、キャリアプランは「当てるもの」ではなく、「行動しながら精度を高めていくもの」として扱えるようになります。面接でキャリアプランを問われた際も、「いま持っている仮説」と「それを検証するためにやっていること」をセットで伝えられると、納得感のある回答になりやすいです。
2. 面接での伝え方:エピソードと数字で「リアリティ」を補強する
キャリアプランの回答で惜しいと感じるのは、「マネジャーになりたい」「専門性を高めたい」といった抽象度の高い表現だけで終わってしまうケースです。企業側が知りたいのは、「そのプランに至った背景」と「実現に向けた現時点の行動」です。
たとえば次のような構成を意識してみてください。
- ① ゴール:3〜5年後にどんな役割で、どんな価値を出したいか
- ② 背景:そのゴールを選んだきっかけとなる経験・価値観
- ③ アクション:すでに始めている取り組み(学習・プロジェクト・役割など)
「チームをまとめるマネジャーを目指しています」という一文にとどめるのではなく、「現在は3名の後輩のOJTを担当しており、1on1の実施や振り返りシートの運用を通じて、半年で〇〇の成果につなげた」といった具体例や数字を添えると、面接官は「この人のプランなら実現性がありそうだ」とイメージしやすくなります。
3. 企業・人事側の視点:キャリアプランを「定着リスクのシグナル」として活かす
採用コンサルの立場から見ると、キャリアプランの質問は「志望度を聞くための定番質問」というよりも、「早期離職のリスクをどこまで見抜けているか」を測る重要なチェックポイントです。
たとえば次のようなすれ違いがあると、早期退職につながりやすくなります。
- 会社側:数年以内にマネジメントを任せたい/広い領域を見てほしい
- 応募者:スペシャリストとして手を動かし続けたい/領域を絞って深掘りしたい
こうしたギャップを避けるために、企業側でできる工夫としては、
- 求人票や採用ページで「入社3年後・5年後のモデル像」をあらかじめ言語化しておく
- 面接でのキャリアプラン質問を、「役割期待」「スキルの伸ばし方」「報酬・評価の考え方」とセットで確認する
- 入社後1on1やキャリア面談で、応募時のキャリアプランがどう変化しているかを定期的にすり合わせる
といった取り組みが有効です。キャリアプランの質問を「その場しのぎのQ&A」で終わらせず、採用〜オンボーディング〜定着のプロセス全体で、一貫した対話テーマとして扱うことが重要です。
おすすめの関連記事
キャリア / 採用支援 / 記事監修のご相談について
中途採用に関する課題感を持つ企業様、メディアの価値向上に転職・キャリア・採用の専門家視点での監修を必要とされるメディア運営者様から等のお仕事依頼を承っております。
① 個人の方向け:キャリア相談・書類添削
② 企業経営者・人事の方向け:採用コンサル・面接官研修
③ メディアの方向け:記事監修・コンテンツ制作
④ 出版社の方向け:書籍企画・執筆
お問い合わせリンク
お問い合わせフォーム・SNSリンクからご連絡ください
