「働く人と組織の関係性の編み直し」をテーマに、人生と仕事を少しだけ軽くする読書の時間をお届けします。
(1)情景と導入
現代には「幸せになるべきだ」という言葉が絶えず流れています。
ウェルビーイングやマインドフルネスといった概念も広がり、良い生き方であるかのように受け取られています。
その前提にどこか違和感を抱いたとき、本書『ハッピークラシー』が示す視点が立ち止まるきっかけになります。
(2)本書とエピソードの核心
『ハッピークラシー』は、ポジティブ心理学が社会にもたらした影響を、心理学者と社会学者の立場から検証した一冊です。
幸せが数量化され、商品化され、個人の努力へと回収されてしまう構造。
世界幸福度ランキングのような尺度もまた、幸福を管理する仕組みの一部として捉えられています。
エピソードでは、グローバル化、新自由主義、仕事という三つの観点から、この「幸福の支配」がどのように広がってきたのかを扱っています。
(3)問いと余韻
良かれと思って誰かに「ハッピー」を勧めてしまうとき、その裏側にはどのような力が働いているのか。
そして、私たち自身も無意識にその流れに乗っていないか。
幸福を求めることが前提となった社会の中で、「何が本当に自分にとっての幸せなのか」という問いが、静かに残されます。
書籍情報
書名:ハッピークラシー ― 「幸せ」願望に支配される日常
著者:エドガー・カバナス/エヴァ・イルーズ
出版社:みすず書房
Podcast「アワノトモキの読書の時間」
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